Lakai / Fully Flared -2-

最近はホント繰り返し見ていて、見れば見るほど作品の素晴らしさを噛み締めている感じです。待つだけの甲斐はあった!


先ずイントロのエクスプロージョンシーンからしてヤバイ。ストリートスケーティングは街にある既存の建造物を読み替え、芸術的に「爆発」させる行為、という認識がありましたので、このシーンには「まさにその通り!」と深く頷かされました。ストリートスケートの本質を的確にエンターテイメントに描き出した画期的で貴重なシーンだと思います。


そしてその後のそれぞれのパートも、トリック、スポット、映像、音楽、編集、全てが文句なしに素晴らしく、現在のストリートスケートが表現できる最高のことを彼らはやってのけたと思うし、確実に次世代のスケートフッテージの在り方を提示しているといえるでしょう。


特に映像のクオリティは圧巻で、他のスケートフッテージとは完全に別格という感じですね。映画などを含めたもっと広いジャンルでの映像作品としての評価が必要な気がします。
例えば一つのスポットを撮るにしても、アングルや光の加減などに徹底的な拘りが感じられ、他のスケートフッテージで見たことがあるスポットが、全く新しいものに見えます。


特に印象的だったパートを順にあげていくと、先ずAnthony Pappalardoのストリート感あふれるアグレッシブな滑り。東海岸っぽい雑然とした街並みをBad BrainsのDon't Bother Meでアグレッシブに攻めまくる。本人のスキンヘッドのせいもあってパンキッシュなイメージがカッコイイです。


Nick Jensen & Danny Bradyのロイヤルファミリーはおそらくイギリス〜ヨーロッパのスポットが多いのでしょうが、これも建造物がおしゃれで彼らのスタイリッシュな滑りが映えまくっている。音楽はシャーラタンズアメリカ人から見たモッドイメージをぶちまけた感じが爽快です(笑)!(そう思うのは僕だけかな〜)


ステア使いが抜群にクソうまいCairo Fosterは、ダイナミックな滑りが魅力で見てて本当気持ちよいです。Corey DuffelやLeo Romeroが慕ってそうですよね。音楽もダイナミックな感じなんだけどFlaming Lipsなのでヒネた印象がニクイところ。


Alex Olsonは、ストレスパートと本編のメタルパートという組み合わせが低脳なイメージを公開してて好感持てる(笑)。滑りはもちろんカッコイイですけど。


Rick Howardはやっぱり音楽がいいですね〜。Echo & The BunnymenのThe Cutter。Rickのお茶目なキャラクターと相まって最高にハッピーに80'sネオサイケデリアが鳴り響いています(2008年にっすよ!)。スケートビデオは音楽を良く聴かせる、という見本ですね。年相応に(?)プールやパイプのシーンも盛り込んでいますが、やはり青春を代表する曲を選んだせいもあって、やけにフレッシュに見えるのが楽しいです。


そして後半はスケートの神たちが次々と登場するわけですが、トリックに関しては尋常じゃなさすぎて僕には説明が難しいです(笑)。一瞬たりとも目が離せない完成度で、正直息がつまりそうなところもありますね、Carroll、Koston、Mariano、MJは。ビール片手に気楽に見れないというか。でも何度も見る価値があるのは勿論分かっていて、特にこの4人のパートを繰り返し見てるわけなんですが。


以前雑誌でMike Carrollは「最近スコーピオンズ聴いてるよ」「それとTV見るのが好きで、庭にTVセット持ち出したんだ。青空のもとで見るTVは最高だろ?」とか発言していて、踵もそうとう痛めてるようなので、クサッちゃってスケートすんのやんなっちゃったのかな〜、と心配していたのですが、相変わらずスムース&テクニカルなトリックをバシバシ決めてくれたので安心しました。というか全然若手ライダーに負けてないというのが凄いですね。個人的にはレッジやレイルでのポップアウト処理、それとトレフリップが最高に気持ちいいです。


Kostonは、これも曲がイイ、Public Enemy No.1!!!バネのあるKostonの滑りにバッチリハマッてます。彼もCarroll同様クオリティーの高いスケーティングを維持し続けているので、その点は敬意を払うしかないです。ポップショービットからノーズブラントのレイルスライドもヤバイし、最後のデカイステアでのノーリーハードフリップ(?)もヤバイ。口からビームを出しているのもヤバイ!!!


そして、なんといってもこのビデオの主役はGuy Marianoでしょう!(トリで3パート残したMJすまん!)
かつては天才スケーターと呼ばれていたのに、ドラッグ絡みなどで5年間スケートシーンを遠ざかっていた男の完全復活!静かに倉庫に入り、スロモーションで「再生」される黄金のトレフリップ。技巧的かつ勢いのあるカーブトリックとか、クレイジーなレールさばきとか、スタイリシュなフリップ系トリックとか、一線を退いた男とは思えない完成度。トリックだけではなく顔の表情、背中などからここに至るまでの葛藤とか苦悩とか努力とかがじんじん伝わってくる。まるで人生を学ばされるような、今までのスケートフッテージには無かった深いものを感じるパート。一番繰り返して見ているのはコレです。Band Of Horsesの2曲も最高の効果を出してます。


今年のSOTYにも選ばれた最後のMJは、さりげなく難易度の高いトリックを次々と決めるから、どこがどう凄いのか自分にはうまく説明できません(笑)。ここまできたら変態ですね。前から知ってましたが(笑)。最後のノーズブラント・トゥ・テールブラントスライドって一体なんなんですか?MJの緻密でテクニカルなスケートってちょっと精神的な領域に入っているというか、彼はトリックでスケートの新しいイメージを開いているようにも思います。
僕はこのパートも分からないものに惹かれる感じで何度も見てるわけなんですが・・・。


以上長文失礼しました。このビデオを見て日々感じて脳内に溜まっているものを吐き出したかっただけなので。
とにかく傑作なのは間違いないです。スケーターだけじゃなく映像作家や音楽家社会学者や精神学者やサラリーマンや色んな人に見てもらいたい一本!


*トリックに関しては間違いの記述があるかと思われます。気づいた方指摘してくれたらサンクスです!