Dirt Ollies 〜A Skateboard Trip To Mongolia

h-shark2007-05-04

http://www.amazon.co.jp/Dirt-Ollies-Skateboard-Trip-Mongolia/dp/3939181048/ref=sr_1_8/249-9356506-1108354?ie=UTF8&s=english-books&qid=1178291122&sr=8-8
http://www.bildschoene-buecher.de/buecher/dirt-ollies-skateboard-trip-to-mongolia.php
これはヨーロッパを中心に活動している11人のスケートボーダーが2004年にモンゴルにツアーに行った時の模様を収めた写真集+DVDで、出版はカーハートとbucherという出版社による。
参加しているスケーターは、
Pontus Alv
Scott Bourne
Quentin de Briey
Tom Derichs
Julian Dykmans
Vincent Gootzen
Geoffrey van Hove
Hugo Liard
Chris Pfanner
Kenny Reed
Muki Rustig
そう、あの傑作フッテージ「Strongest of the strange」をご存知の方ならここに出ている名前(特にあの二人!)を見てお気づきでしょうが、「Strongest of the strange」のモンゴルパートに使われたツアーの模様が豪華207ページの写真集と35分の映像で再現されている。
http://d.hatena.ne.jp/h-shark/20060625/1151246412
(拙い紹介文だ。当時はスケート文化に齧り始めたばかりでこれでやっとだったのね・・・)


ツアー、といってもモンゴルに活発なスケートシーンがあるわけじゃなく、かつては巨大なスケートパークがあったらしいのだが、今はほとんど取り壊されている状態。
スケートボーディングの認知度は先進国に比べればかなり低いだろうし、というか欧米で有名なスケーター、ジェフ・ロウリーやエリック・コストン、ダニー・ウェイといった名前を知っている人達は10人もいないんじゃないだろうか、しかもこのツアーで参加しているスケーターは欧米でもマイナーなほうだし、乗っている板はアンビリーバーズという更に更に情報が伝わりにくいブランド・・・現地から積極的なオファーがあって出向いた訳ではなく、スケート文化がゼロのところで一ヶ月旅して何かやってみようぜ、というスケーター達のある種純粋な動機からこの作品は成り立っているように思う。


DVDに出てくるスポットは、路面が小石だらけでガタガタだったり、バンクはコンクリが剥がれていたりと「スケータブル」とは言い難い場所が多い。しかしそんなスポットをなんとか攻めようとするスケートボーディングもなかなかかっこいい。写真集の表紙がまずかっこいいもの。こんなレイルのグニャグニャ具合、ちょっと芸術的ですよ。
僕たちがいつも眺めている有名なスケートカンパニーのフッテージは、先進国の都市部における建造物がほとんどで、基本的に滑り易いことを前提にスケートする。DIRT OLLIESの場合はあえて「滑り難い」ところを選ぶ事によって、有名カンパニーのものとは違う独自のスケートボーディングを表現しようとしているようにも思える。アメリカを中心とするメジャーなスケートボーディングに対する批判の意味も込められているのでは。


だから「通常の」スケートボディングの写真集やDVDとは違い、スケーボーディングそのものではなく、モンゴルの風景や人々を収めた写真や映像が多い。多いというか半分がそうだ。コンクリの世界をしばし忘れてウランバートルのゲルでの宿泊を体験してみたり(勉強してみよう。http://ja.wikipedia.org/wiki/ウランバートル)、小学校で行われた「自分の生活を写真に撮ってくる」という課題に参加したり。しかしそれが退屈かと言えばそうではなくて、それもなんだかスケーター独自の視点のようなものが感じられてかっこいい。
Scott Bourneが写真集の序章で
「自分にとってスケートボーディングとは、単にスケートすることだけはなく、『旅』だった。」
と語っているように、スケーボーディングを通して広がる世界の風景をゆっくりと楽しむ事ができるような作品だと思う。
近視眼的にスケートを捉えるのではなく、全体的にスケートを考える、そんな見方を提示していて、スケートボーディングの表現の幅を広げている(そういう意味では従来のフッテージとは違う革新的な映像を開拓した『Strongest of the strange』と通じているものがある)。


先述したように決してスケータブルとは言い難いスポットを、アグレッシヴに攻めまくるスケートシーンも充分かっこいい。Scott Bourneは熱くなりすぎてTシャツを破り捨て変なポーズをとってみせる(素敵)。あと写真集にパイプで滑ってる写真があるんだけど、パイプの横にランニング+サンダルのモンゴル人のおっさんがビタッとくっついていて、かなりSICK!モンゴルというかアジアはこういう(おっさんという)奇跡があるからたまらん。おっさんはもはや一つのスポットでしょう。


そういうわけで、Strongest of the strangeに引き続き、またおもしろいスケートボーディングの作品を堪能できた、という感じなのですが、どうもヨーロッパのシーンはこういう独自のやり方で盛り上がってるぽい!もちろんその中心となるのはPontus Alvで、このDirt Olliesの主要人物は彼だし、ヨーロッパ・スケートボード・チャンピオンシップにあわせてスイス/バーゼルでBlack Cross Bowlという変形ボウルを造ったり(僕はスラッシャーのショットガンで見ました。FOUNDATIONのCataclysmic Abyssでも出てくるみたい)
http://www.basementizid.com/documents/blackcross.pdf
地元スウェーデンでLe boxxというアートショウを開いたり
http://www.bryggeriet.org/leboxx/blog.php
実に興味深い活動を続けているっぽいぞ。


Le Boxxの模様(何言ってるか分からんが)
http://www.bryggeriet.org/leboxx/Le%20Boxx2.mov
やばくないですか?コレ。おしゃれすぎるランプに面白そうなアートがずらり(ゴンズも提供)。
このランプ、愛でてー!!!かわいすぎ!いつか愛でるためにランプの練習や!


僕が好きなスケートブランド、Unbelieversはどうやら自然消滅の状態にあるようなのだけど、Pontus Alv, Scott Bourne, Jeremy Fishという才能は、これからも独創的で感動を与えてくれるような活動をしてくれるはず。3人の今後がすごく楽しみだ。(でも改めてUnbelieversって凄いカンパニーだったんだなって思う)


以上ほとんどの情報提供イチハシさんでした。Thanks a lot!!!