百科事典棒

正月に帰省した時に、自分の部屋の本棚にあった村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み返してみて、「百科事典棒」という面白いアイデアがあったのでメモ的にここに記しておきます。


「百科事典棒」とは百科事典を楊枝一本に刻みこめるという説のこと。

方法は、先ず百科事典の文章の一つ一つの文字を、全部二桁の数字に置き換かえる。
Aは01、Bは02、00はブランク、という具合に。(同じように句点や読点も数字化する。)
そしてそれを並べたいちばん前に小数点を置く。
するととてつもなく長い小数点以下の数字が並ぶ。0.1732000631・・・という具合に。


次にその数字に符合した楊枝のポイントに刻みめを入れる。
つまり0.50000000・・・に相応する部分は楊枝のちょうどまん中、0.3333・・・なら前から三分の一のポイント。


そうすればどんな長い情報でも楊枝のひとつのポイントに刻みこめてしまう。



これはコンピューターの理論では別に珍しくもない話なのかもしれないけど、久しぶりに読み返して、なるほどな〜、と思ってしまった。昔読んだときより印象的に感じるのは、自分がシステムエンジニアを経験したり、コンピューターの世界がより普遍的になっているからかもしれない。


さらに村上春樹は話を以下のように展開させる。


時間とは楊枝の長さのことで、中に詰められた情報量は楊枝の長さとは関係がない。それはいくらでも長くできるし、永遠に近づけることもできる。


思念というものは時間をどこまでもどこまでも分解していく。
そして思念の中に入った人間は不死になる。



なんかマトリックスみたいだよね。って今さらゆうてますけど(笑)