読書

土の中の子供

「暗い」とか「明るい」とか、そういう印象は、文字通り光量的なことによるものであって、あくまで表層的なものに過ぎない。 好きな中村文則の作品を思い出して、そんなことを考えた。 どんどん落ちて行くようで同時に浮遊感を感じさせる中村氏の作品の特性…

蓮實 重彦 「スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護」

ワールドカップで盛り上がったついでに、今更ながら未読だった本書に目を通してみたのだが、サッカーについて多く触れているだけでなく、スポーツを起点に文化全体の批評へとフィールドを広げていて、読んでいると脳に心地よい刺激を与えてくれ、思考を活性…

ガツン! ニック・ホーンビィ

SLAM/ Nick Hornby 前から読みたいな、と思ってた本。やっと読みました。 独身三十男のモラトリアム的な生活を描くのに定評のあった作者(ハハハ、、ハイ・フィデリティを読んで心の中で「ごめんなさい」と呟いた同志、手を挙げよ!)が はじめて十代の男の…

サリンジャー死去

http://jp.wsj.com/Life-Style/node_27586 去年の12月に「ライ麦畑でつかまえて」を読み直していて(というより村上春樹による訳を始めて読んだ)、 浅はかすぎる感想ではあるが「赤いハンティング帽が欲しい」とか思っていた。 朝のラジオでサリンジャー死…

村上春樹 1Q84 BOOK2読了

http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0804/sin_k405.html読んでいて、大澤真幸の『不可能性の時代』を思い出したりしていた。 大澤は戦後の日本の精神史を、戦後から1970年までを「理想の時代」、1970年から1995年を「虚構の時代」、1995年から…

村上春樹 1Q84

BOOK1を読み終えたところ。BOOK2はまだ買っていない。早く読みたい。 村上作品を読むといつも引用されている書籍や音楽のことが気になる。 以下のブログでとても便利に音楽について紹介されていたので、誠に勝手ながらリンクを貼らせて頂きます。 http://d.h…

無垢の予兆

一粒の砂にも世界を 一輪の野の花にも天国を見、 君の掌のうちに無限を 一時のうちに永遠を握る〜ウィリアム・ブレイク ドストエフスキーやニーチェといった「アウトサイダー的」な思想に思いを馳せるうちに、何故かサリンジャーに行き着き、そこからまたウ…

椎名麟三 「神の道化師 媒酌人」

恥ずかしながら椎名麟三の作品初めて読みました。 何故僕が氏の作品を読んでみようと思ったのかといえば、「ドストエフスキー 笑い」とかそんなキーワードでインターネット検索していたら氏の名前にヒットした、というだけのきっかけでした。 そうしてネット…

何もかも憂鬱な夜に - 中村文則

なぜ控訴しない?―施設で育った過去を持つ「僕」は、刑務官として、夫婦を刺殺した二十歳の未決死刑囚・山井を担当していた。一週間後に迫った控訴期限を前にしても、山井はまだ語られていない何かを隠している―。芥川賞作家が、重大犯罪と死刑制度に真摯に向…

ドリアン・グレイの肖像

Gavinの力作ジンを読み返していて、 http://d.hatena.ne.jp/h-shark/20081220/1229788661 もちろん Lee Hutzulak http://www.leehutzulak.com/ Beau Hagberry http://ja-jp.facebook.com/people/Beau-Hagberry/1191822628の作品はとてもクールでTシャツにし…

スラヴォイ・ジジェク/厄介なる主体 ――第四章:ポリティクスの主体的な前景化、それが迎える結末、より抜粋

いきなりごめんなさい(笑) はっきりしているのは、ドイツ民主共和国、ポーランド人民共和国、チェコ社会主義共和国のなかで抗議運動に加わる群集が、「何か他のものを求めていた」ことであるが、それはさまざまな名称を用いて表されていた、見果てぬ<充益…

レディオヘッド概観(初心者がざくっっ!と)、と大澤真幸の「不可能性の時代」

最近レディオヘッドを何故かよく聴いているんですが、実は今まであんまりちゃんと聴いたことってなかった。何故今頃って話なんですが、それはギャビンのブログでHouse of Cardsのプロモが紹介されていて、その音と映像が良かったのと、あといくつかのスケー…

荒野へ/ ジョン・クラカワー --- Into the Wild/ Jon Krakauer

ギャビンのブログで紹介されていて気になっていた本。 http://cityofinstruments.blogspot.com/2008/03/into-wild.html http://www.amazon.co.jp/%E8%8D%92%E9%87%8E%E3%81%B8-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%AF-15-1-%E3%82%B8%E3%8…

百科事典棒

正月に帰省した時に、自分の部屋の本棚にあった村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み返してみて、「百科事典棒」という面白いアイデアがあったのでメモ的にここに記しておきます。 「百科事典棒」とは百科事典を楊枝一本に刻みこ…

わにとかげぎす

久々に漫画読みました。古谷実の「わにとかげぎす」。 電車で向かいに座っている外国人が単行本を読んでて、「あ、新作出てるんだ。。。」と思って買ってみようかな、と。しかしコアな漫画読んでるな、あの外国人も。日本滞在が長い人なのかな。内容は相変わ…

ドストエフスキーの天使たち 高橋康雄

1989年発行。大和書房。最近古本屋にて購入。タイトルに惹かれて。 僕がドストエフスキーを読む時、着目するのは「笑い」「幼児性」「二重人格性」である。現在のところ。 しかしこれらの特性について論理的に説明できるほど読み込んではいないし、深く考え…

ジュンク堂新宿店

http://www.junkudo.co.jp/shinjyuku-open-2.html 3月2日オープン。豊富な品揃え、余裕のあるスペース、ゆっくりできる座り読み、予想通りの心地よさ。なるべく通うようにしよう。 で、座り読みしてたのは、前から目を通そう、通そう、と思ってできていな…

小島信夫

今日小島信夫が亡くなったらしい。ご冥福をお祈りします。 小島氏の作品は「感情移入しにくい」「文体は決して模範的ではない」「物語の整合性が見えにくい」などの特徴があげられるかと思う。それらは小説としては一歩間違えれば破綻する要因ともなりえる。…

男たちのピクニック 保坂&柴崎トーク

チームNERD BUT WILDの連中は稲城北緑地公園のパークへ向かった(通じている方なら次のオチが見えてるでしょうが)。 閉鎖されていた。知らんかった・・・。閉鎖されているパークのウワサはあったけどここだったのか・・・。鎖やロープでグルグル巻きのセク…

本て

高いよな〜!たいしたこと書いてないくせしてなぁ〜(ウソやん〜)。小島信夫の「別れる理由」を前から読みたかったけど、あんまり見かけないし、あっても高いので読めてない。 http://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/4062001225/sr=8-5/qid=1158566529/…

恋愛できないカラダ 〜名前のない女たち3 中村淳彦

http://tkj.jp/book/book_01524001.html キツイ内容だった。でも面白かった。AVに出演したことのある女の人達14人のインタビュー集だが、AVに出る理由はそれぞれである。 中でも面白かったのは、月丘うさぎという人で、この人は大学院に通うお金のためにAV…