Blueprint Skateboards/ Make Friends With The Colour Blue


スケーターがスケートボーディングに疎い女子に、先ずはイントロダクションとして貸してあげる率が高かったとも噂される前作の『Lost and FOUND』。
美しいロンドンの街並みをルックスの良いスケーターが、スムーズかつテクニカルなトリックで駆け抜け、センスの良い選曲とハイクオリティーな映像で編集されたその作品は、「絶対に女子受けがいいはず」と多くのスケーターを思い込ませるには充分な内容だったのだが、何故かDVDを貸した女子からの反応は薄かったという。
そういう点で問題作の前作だったわけだが、何故そうした事態が起こったのかという理由は明白で、それは「スケートボーディングだから」ということであって、私はあえて第三者的に身を置いてこの事態を眺めながら「モテるわけないじゃん!」と叫びたくなるのだが、スラムすることには慣れている奴等は今回最新作『Make Friends With The Colour Blue』がリリースされる際に及んで「今度こそ!」と性懲りもなく胸躍らせたという。


しかし既に『Make Friends With The Colour Blue』を観たスケーターなら、お分かりかと思うが、本作はよりスケートボーディング自体に焦点をあわせた作品で、洒落た要素はだいぶそぎ落とされているように感じる。というか、イメージショットを上手く編みこみながらスケートボーディングを魅せる優れてセンスの良い編集技術などは相変わらず健在なのだが、滑り自体が更に迫力を増していて、その滑りを観ているとファッションとかカルチャーとか色んな文化コードから解き放たれるような快感がある。つまり前作より女子受けは悪いだろうな、ということだ。


『Lost and FOUND』で、「ボビー・ギレスビーみたいなアイドル性があるなぁ」と思っていたDanny Bradyが、一段上の滑りを魅せてくれていて、より本格的なスケーターへと姿を変えていることに驚かされる。マイク・キャロルやA.V.E.といったアメリカのスーパースター達と比べても引けを取らないレベルなのでは。Nick Jensenの闇夜に浮かぶキックフリップは息を飲むほどの美しさだ。猛スピードでビッグトリックを繰り返すNeil Smithのハングリーな攻め方も観ていて実に気持ちいい。


多分君が『Lost and FOUND』を渡していた女子は、映画とかアートが好きなタイプだったんだろう。『Make Friends With The Colour Blue』を観て分かったと思うけど、その狙いは間違っていた。君がこれを渡すべき相手は、格闘技好きの女子なのだ。