ミスター・ロンリー

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ハーモニー・コリンの最新作。マイケル・ジャクソンのモノマネをして生きてきた青年が、マリリン・モンローのモノマネをして生きてきた女性に恋に落ち、彼女の誘いでモノマネ芸人達が共同生活をして暮らしているコミューンに移り住むようになる。そこは現実から隔離された世界だが、彼らは日々愉快に過ごしている。そして彼らが企画する史上最大のモノマネショーが開催されるのだが・・・


というのがストーリーのだいたいの筋。それと平行するようにパナマで布教活動している尼さんの話が織り込まれる。


途中までモノマネ芸人の乱痴気騒ぎと突飛で実験的な映像の処理には、なんだか不安な気分にさせられたのだが、最後には感動してしまった。心に深く響く、誠実な映画だと思う。


「共同体」がテーマになっているのだと思うのだけど、現実から隔離された「共同体」を否定することにより、「現実」にも「共同体」と同じような性質があることに気づき、自分自身を見つめることの大事さをぽつぽつと語るようなラストには、素直に頷けるものがあった。


しかし、尼さんがスカイダイビングをする映像は美しい。あれは本当に無邪気で危うくて、スタイリッシュすぎる映像だ。キッズが「sick!」と言ってあの絵をTシャツにプリントするのを止めることはできない。というかそのTシャツ欲しい。BMXで飛んだときは「コラコラコラ!」と心の中で言わずにはおれなかったけど。
そして尼さんが海で溺死しているシーンも、ぞっとするほど美しい。スカイダイビングの絵はハーモニーが前から持っていた天賦の才能ですらすらすらと描いた感はあるが、この溺死の絵はある種の経験や深い思索を積み重ねないと描けないような気がする。
この空の絵と海の絵の間に、ハーモニーの成長を測ることも可能なのではないかと思う。


ウェルカムバック、ハーモニー!